紳士靴のハーフソール加工の流れについて、少し詳しくご案内いたします。
こちらの靴にはシールのように貼り付けるタイプのすべり止めが貼ってありましたので剥がした状態です。比較的ソールの減りは少ないですね。
そのままの状態では接着剤が効きにくいので、軽く削って表面を荒くし、接着剤が効きやすい状態にします。
底を縫っている糸にも削る事でダメージがありますが、この程度なら問題ないでしょう。
接着剤を塗ります。革は接着剤が染み込みやすいので、2度に分けて塗ります。
塗った後はヒートガンで熱して乾燥させます。
ゴムシートの方にも接着剤を塗り、乾燥機で暖めてくっつきやすくします。
接着しました。温度は熱しすぎると接着剤が柔らかくなり過ぎて剥がれてきますので、ちょうど良い温度まで冷ましてから貼ります。
周りを削って仕上げます。
度々、ハーフソール加工を行うタイミングについて質問される事がありますが、普段から修理している私個人の意見としては、なるべく早い段階で貼った方が良いと考えます。私の場合は新しい靴を買ったら歩く前にすぐに貼ってしまいます。
底が糸で縫われているマッケイ製法やグッドイヤー製法の靴は「接着剤+糸」によって底が剥がれないようになっていますが、履きすぎて糸が切れてきている状態の靴は、接着剤のみでソールがくっついている状態となり、最初の状態よりも剥がれやすいです。
その状態からハーフソール加工をする事も可能ですが、糸が切れた部分から剥がれやすいので減り過ぎたソールは結局全てを交換する羽目になる場合があります。
修理するのであれば、なるべく安い金額で済ませたいですよね。
高額な修理にならないように、予防としてのハーフソール加工はお勧めです。